最近、夏場によく聞かれるようになったゲリラ豪雨。
突然の豪雨は、すぐ側の屋根まで辿り着くまでに
全身ぐっしょりと濡れてしまいます。
また、東京は谷が多いため、渋谷(まさに地名からして谷)駅前などは
あっという間に水が溢れ出して困ってしまいますね。
ゲリラ豪雨の原因は一体何なのか、地球温暖化との関連性はあるのかなどについて、調べてみました。
ゲリラ豪雨の原因、メカニズム
ゲリラ豪雨という言葉は2008年ごろから使われるようになり、
その年の流行語大賞になりましたが、正式な気象用語ではありません。
また世界的にもこのような言葉は存在していません。
突然の豪雨をゲリラ的と感じてマスコミ等で使い始められて浸透しました。
気象庁などではゲリラ豪雨という言葉は使いません。
予測が困難で、積乱雲の発生による突発的で局地的な豪雨のことを指します。
原因は都市部のヒートアイランド現象です。
熱い都市中心部と周辺部の温度差によって積乱雲が発生し、集中的な豪雨が発生します。
ちなみにヒートアイランド現象の原因は、アスファルトやコンクリートの蓄熱と放熱、
水の気化熱の不足、風の通り道の阻害、工場や家庭からの排熱などが上げられます。
緑化運動や風の通り道を作る都市計画などで、
ヒートアイランド現象の改善が取り組まれています。
ゲリラ豪雨の雲
ゲリラ豪雨と地球温暖化は関係ある?
ゲリラ豪雨の主要因はやはり都市部の気温上昇ヒートアイランド現象です。
地球温暖化が過去100年で0.75℃上昇したのに比べて、東京などは2℃と、
地球温暖化だけでは説明できない温度上昇があります。
ただし地球温暖化により日本の気候自体が亜熱帯化してきていて、
雨の降り方も変化しているので、全く無関係とも言えません。
集中豪雨、夕立とは違う?
ゲリラ豪雨というのは気象用語ではないので、
気象庁では集中豪雨として発表されます。
集中豪雨の中で、突然に予測も付かないうちに発生する都市型の集中豪雨を、
ゲリラ豪雨とよんでいると考えると良いと思います。
ただ定義されてない言葉ですから、
だんだんと都市型ではないものにも使われるようになっています。
集中豪雨の起こるメカニズムについて説明します。
地面付近の暖かい空気が上昇すると、
上空の冷たい空気とぶつかり、上下の空気が混じり合う対流が発生します。
この時の空気が湿ったものであれば、
垂直方向に発達する積乱雲が発生し、局地的な狭い範囲に激しい雨を降らします。
雨の時間は短いのですが、1時間に100ミリを超すような雨を降らすこともあります。
夏場に多い夕立ちなども、メカニズムは同じです。
夏の気圧配置は、南から暖かく湿った空気が流入して
雲ができやすい状態になります。
そして、偏西風が南側に張り出して来ると、
冷たい空気が南下し日本の上空に入って来て積乱雲が発生しやすい状態になります。
この条件下で、地面付近の暖かい空気の上昇による対流の発生が起こると、
集中豪雨へとつながります。
積乱雲は、一般的には山沿いに発生しやすいものであり、
わずか1時間ほどで発達する雲です。
ゲリラ豪雨をもたらす都市型の積乱雲は数分~数十分とさらに急速に発達するうえに、
ヒートアイランド問題も絡んでいますので、
低気圧や前線に伴う降雨と違って場所を特定するのは難しいのが問題です。
大阪府枚方市を襲ったゲリラ豪雨(Guerrilla downpour in Osaka)
個々ができるゲリラ豪雨の対策
ゲリラ豪雨は急にやってきます。
黒い雲が立ち込めてくるのを見たら
携帯電話で天気のアプリやサイトなどを見てみましょう。
気象庁や民間気象会社も局地予報を出しています。
また、積乱雲の発生・発達をとらえて事前にメールで知らせるサービスを
積極的に使うことで、ゲリラ豪雨から身を守ることが出来ます。
もし降られてしまったら、とにかく屋根のある場所に避難しましょう。
長時間にはなりませんから、そこで雨が上がるのを待つのが得策です。
傘はあまり役に立たないこともあるので、
折りたためるレインコートや靴カバーなどを持ち歩くのも一つの方法です。
また、最も怖いのが車に乗っていて身動きがとれなくなり、水没してしまう場合です。
脱出用ハンマーなどを、車に常備しておくと安心です。
長い目でみた場合は、都市の緑化、クーラーの設定温度を下げるなどして、
みんなで都市の温暖化を予防していきましょう!