一般的には夏より冬のほうが多いとされるボーナス
結局どっちが多いのか、差額はどのくらいあるものなのでしょうか?
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」と「賃金構造基本統計調査」の統計データを中心に、金額などについてまとめてみました。
ボーナス 夏 冬 どっちが多い?
速報では、2018年の夏季ボーナス予測は 373,725円 となっています(みずほ総合研究所発表)
2017年の国内企業全般のボーナス平均額は下記のような結果でした。
夏 366,502円
冬 386,752円
夏と冬の比率は1:1.0553、割合的には冬の方が約5.5%多いですね。
もう少し細かく夏・冬のボーナス平均額を見ていきましょう。
事業所規模別 夏・冬ボーナス 平均金額グラフ
事業所に在籍している人数の規模で分けたデータです。
一般的に事業所規模が大きいほど、ボーナス支給額・支給率ともに高くなります。
※グラフの棒をタップ(クリック)すると詳細の金額が出ます。
きれいに右肩上がりになっていますね。
30人以下と500人以上の事業所規模を比べると、支給平均額に2倍以上の差がありますから、大企業が人気なのもうなずけます。
事業所の数え方
事業所は「事業を行ってる場所・施設・拠点」のことを指します。
おおざっぱな目安だと、末尾に「~店、~社、~所、~館、~院、~校」とつく場所は、それぞれ1事業所として数えられます。
例えばA会社が東京に本店1つ・大阪に支店2つ持ってたら、事業所は全部で3つということになります。
業種別 夏・冬ボーナス 平均金額
今度は16業種に分けた夏・冬ボーナスの平均額データです。
※グラフの棒をタップ(クリック)すると詳細の金額が出ます。
一般的には冬の方が支給額が高いと言われますが、こう見ると夏の方が高い業種は5つもあるんですね。
そもそも業種とは
産業の経済活動を分類わけしたもので、その分け方は大分類と中分類の2つがあります。
大分類だと20種類前後・中分類だと100種類前後あり、日本標準産業分類というものを基準に分けています。
自分の業種がわからない方は、下記の経済産業省が出している業種一覧表が参考になります。
→経済産業省 業種一覧
昨年のデータから、冬のボーナス金額の方がやはり全般的に高いことがわかりました。
冬の支給額が多少高くなる理由として、年末年始でかかる費用への配慮や、大晦日につけ払いを徴収していた風習のなごりなどの影響が挙げられます。
少しでも資金を手元に置きたい企業側の事情もあります。
ただ公務員の場合は、夏と冬でもっと差がハッキリしています。
平均的に月給の約0.2ヶ月分、冬のほうが高いです。
夏と冬の支給額 差額はピンキリ?
夏・冬の差額や決め方は、会社独自に定められていることも多く、やはりピンキリのようです。
企業によっては、差額を出さないように"年間臨給方式"を取って、夏と冬で均等にわけるところもあります。
年間臨給というのは、年間の臨時給与(賞与等)の支給総額・支給率を1度で決めてしまう方式です。
そうすると年間支給総額を2分割するだけで、ほぼ均等に分けられます。
従来は夏季・冬季にそれぞれ決めることが多かったため、差額が出がちでした。
まだ小企業で社長の査定次第というところでは、夏はガッツリ貰ったけど冬はなしなどの場合もあるようです。
細かい評価ポイントに沿った査定というよりは、社長の考え・経営方針に基づいた査定方法なのでしょう。
賞与に支給義務がないとはいえ、支払い直前まで支給の有無・金額がわからないというのは不安ですね(就業規則等に支払う旨が明記してあれば支給義務有り)
また特殊な例ですが、業績ダウンで現金がないために、夏だけ自社商品を選んで現物支給された会社もあったようです。
ただ夏と冬で平均支給額が約5.5%の差があり、毎年冬の方が多いのですから何か原因はあるのだと思います。
筆者の憶測になりますが、12月決算の会社の税金対策が影響しているのではないかなと思います。
いちおう根拠を記しておくと、決算時期に税金対策として、社員の賞与を増やすという方法があります。
そういった節税を行う会社は一定数存在するのですが、決算時期が7月の企業よりも12月の企業の方が数が多いんです。
具体的には、7月決算の企業は全体企業数の約7.4%・12月決算の企業は全体企業数の約10.9%あります。
→決算期別普通法人数
参照元:国税庁ホームページ
すると12月に節税を行う企業が自然と多くなるので、毎年冬の方が多いというデータが出るのかなと考えています。
筆者のおおざっぱな推測なので、参考程度にしていただければ幸いですm(__)m
ボーナスの支給回数は一般的に何回?どうやって決まるの?
ボーナスの支給回数は夏・冬の2回という企業が多いです。
特に法律で支給回数は定められていませんが、江戸時代からの風習のなごりで2回支給が多いようですね。
支給回数が1回の企業は、決算賞与(決算時の業績が良いと社員に還元するボーナス)のみであったり、経営方針で1回だと決めている場合があります。
支給回数が3回の企業は、夏・冬のボーナスと決算賞与を合わせて計3回になっているケースが多いようです。
支給回数を4回以上にしている企業はかなり少ないです。
ちなみにボーナス支給回数が4回以上になると、法律的には"賞与"ではなく"給与"扱いになります。
「そうなんだ」という感じですが、これは会社側・従業員ともに社会保険料の支払い額が削減されるメリットがあります。
一般的に、厚生年金保険料を会社と折半で毎月払っていると思いますが、給与額に応じて保険料も高くなりますよね?
この毎月給与額が62万円以上になると保険料が上がらなくなります(2018年度現在)
賞与は賞与で社会保険料を徴収されるはずが、"給与"としてみなされることで、月額報酬62万円を超えた分は社会保険料を払わなくていいことになります。
会社側も折半してるので、コスト削減のために4回以上のボーナス支給を採用してる企業もあるようです。
→健康保険・厚生年金保険の保険料額表
参照元:全国健康保険協会ホームページ
「じゃあボーナス支給しないで全部お給料にすればいいじゃん」と言われてしまいそうですが、やっぱり会社側としては勤労意欲向上の狙いがあるんですね^^;
社員さんも、たまにボーナスがあるとわかってても嬉しいものだと思います。
まれに年8回のボーナス支給なんて会社もあるそうですが、1回の支給額は減るはずなので、意欲向上の効果は少し薄れてしまうかもしれませんね。
ボーナスの支給額はどうやって決まる?
民間企業の場合は、勤務成績の評価点を算出して、支給額を決めている場合が多いです。
いわゆるボーナス(賞与)査定とも呼ばれています。
夏・冬の2回ボーナス支給がある場合、査定も2回行われ、それぞれ6ヵ月間の査定期間があります。
たとえば7月支給分に対しては10月~3月に査定、12月支給分に対しては4月~9月に査定、というように期間が設けられます。
ただこの査定期間や方法については会社独自に定めていることがあるので、一概には言い切れないところがあります。
ボーナス査定で評価されるポイントについてはこちらの記事でまとめましたので、よかったらご覧ください。
→賞与の評価基準とは?聞いて損しない評価ポイントまとめ